4月5日、いつもの阿佐ヶ谷市民センターに常連9名に加えて小川さん、香田さん、石山さんが参加されました。
遅刻者が出たため(申し訳ありません。私でした) 、「江戸雑学」を先行、圓山さんに《江戸の投扇興》(後述)を語っていただきました。
そしてプレイ開始。
投扇興の魅力は何が起こるか分からないこと、今回も想定外の展開が待っていました。
1回戦で仲下、2回戦では坂本さん、準決勝では圓山さんをなぎ倒し、決勝戦に進んだのは今回3度目の小川さん。
発足当初から8年間修業を積んできた常連3人が総崩れとなりそうな形勢の中で、林さんが常連の名誉にかけて決勝に進みました。
林さんは上気した顔面に緊張感が漂います。一方の小川さんは、尻上がりに調子を上げて顔は紅潮、堂々の投げっぷり。両者とも力み過ぎたか高得点は出ず、小技の応酬で最後まで気の抜けない展開でしたが、小川さんが9回目、10回目で空振り。終わって見れば、22対16で林さんの辛勝、かろうじて常連の面目を施しました。
今回も珍しい技が出ました。
白石さんの若紫16点:扇子が台に寄りかかり、蝶は扇子から離れて立っているのが通常の若紫なのですが、これは蝶が扇子を背負い込んで台に寄りかかっています(分かりにくいので持参した白いシートをバックに撮り直した写真と合わせてご覧下さい)。林さんの空蝉20点:蝶が台の端にぶら下がっておれば横笛40という惜しい技です。
余った時間に1回戦で敗れた清水さん、塩出さん、仲下、川越さん、石山さん、三田さんが番外戦。緊張がとけたのか皆さんのびのび。
1回戦では扇子は蝶に当たるものの今一つコツが掴めなかった石山さんが、東屋14点を出して初の高得点。姿勢がよく投げが安定しているのでこれからが楽しみです。三田さんも若紫16点を叩き出しました。
圧巻だったのは、塩出さん。何と早蕨を1ゲームに4回叩き出したではありませんか。新記録です。
江戸雑学 《江戸の投扇興》について
投扇興に関する史料を読み解き、その特徴や銘名法と点数表について解説した。
①投扇興に関する一番古い文献は、安永2年(1773)の「投扇興図式」(投楽散人其扇が”投扇興の由来”を序で記載)で、投扇興は古くから中国の遊びである「投壺」を参考に、女子供も参加できる遊びとして工夫され流行りだした。
②その後も文化・文政期にも投扇興は流行るが、江戸庶民はこれを「賭け事」にしたため、公儀より禁止された。
③投扇興に関する史料のうち、全文画像公開している早大図書館所蔵の「投扇興図式」「投扇式」及び「源氏五十四状点式図投扇興」の3文献を解読したが、3文献は銘名と点数の原典が異なり、それぞれ「百人一首」「古典全般」「源氏物語」を基にしている。投扇興の作法や蝶を乗せる台と投席との距離、投げ方なども記載されており、「投扇連」にとって参考になる(圓山謡拙)。
文責: 仲下