江戸連講

報告

 江戸連会員で理事、「江戸がたり」の創始者であります寿々方さんの先祖を尋ねる軌跡の講演でした。父方の四代前の先祖が北海道の網元であったという寿々方さんは、大学の授業で聴いた「もしほ草。これは江戸時代に上原熊次郎有次という人が書いた、世界で初めてのアイヌ語の辞書です」との教授の言葉が、ずーっと頭の片隅に残っていました。やがて、父上も主だった親戚の方も亡くなってしまいましたが、先祖を調べ始めると、寿々方さんの五代前の父方の吉田家の始祖、吉田和右エ門が上原熊次郎の次男の鉄次郎で、吉田家に養子に入った人であることが判明、そこで本格的に上原熊次郎について調べ始めると、大変優れた人であることが明らかになってきました。熊次郎はアイヌ語の通辞であり、後にロシア語の通辞としても江戸時代後期に活躍した人物でした。冒頭に述べたように、「もしほ草」というアイヌ語の辞書を著し、アイヌ語研究の第一人者の金田一京助先生をして「ただ単語を最も多く最も精密に記録した語彙であるばかりでなしに、これによってアイヌ語の構造をも観ることを得べく、またその古文書・古記録にもあたる貴重なものである」「この人を仰いでアイヌ語の鼻祖とすること云々」「通辞の中でも出色の通辞だった」と手放しの称賛ぶりです。熊次郎は、当時北海道へ進出しようと接触してきたロシアとも関わりを持ち、中でも北海道に長期にわたり抑留されることになったゴロブニン事件に関して、常に温情を持って捕虜たちに接し、言葉の壁を乗り越えて、事件を解決に導いたようです。金田一先生は、この件に関しても熊次郎を高く評価し、「北門の功労者」と称えています。後半生は、その能力と功績を認められて江戸詰めとなり、天文方高橋作左衛門景保の手附として勤務したとのこと。最後に、後の資料から、熊次郎の死後、吉田和右エ門である鉄次郎が養家を離れ上原の名跡を継いだとあり、寿々方さんの父方の始祖の吉田和右エ門はその後、養子に入った人だと考えられるということでした。いずれにしても、寿々方さんのこの先祖を尋ねる講演で、江戸時代に活躍し、世にあまり知られていない素晴らしい人の事蹟を学ぶことができました。詳しくは、寿々方さんの著書『北門の功労者 アイヌ語通訳・上原熊次郎』をお読みください。

北門の功労者

2月講



2017年1月講「雑司が谷七福神めぐり」

 1月講は「雑司が谷七福神めぐり」です。雑司が谷周辺は日本ユネスコ協会連盟の「未来遺産」に指定され、「変わりゆく時代の中で、変わらないものの大切さを思いださせてくれるまち」として、様々な取り組みがなされているところです。七福神めぐりとしては歴史の浅いところですが、江戸時代の人気スポットである鬼子母神や雑司ヶ谷霊園(夏目漱石・中浜万次郎ほか)・旧宣教師館など見どころ満載のコースです。ガイド役は松本・圓山です。たくさんの連衆の参加をお待ちしています。

開催日:1月7日(土)
集合場所:地下鉄有楽町線「護国寺駅」1・2番出口方面改札口(池袋寄り・護国寺寄り)
集合時間:午後1時半
参加費:500円
コース:護国寺~清土鬼子母神(吉祥天。芭蕉句碑)~三角寛旧宅~雑司が谷旧宣教師館~雑司ヶ谷霊園(中浜
    万次郎・夏目漱石他。御鷹部屋の松)~清立院(毘沙門天。 雨乞いの松)~大鳥神社(恵比寿神)~
    本納寺(蜀山人の筆になる月花塚)~並木ハウス(手塚治虫)~雑司が谷鬼子母神~大黒堂(大黒天)
    ~観静院(弁財天)~法明寺~威光稲荷~中野ビル(布袋尊)~仙光寺(華福禄寿) 全行程4キロ弱
新年会:午後5時~7時「鳥貴族池袋東口店」 03-6914-1991(参加費 一人3,000円(呑み放題付き))

報告

 1月7日(土)13:30に有楽町線護国寺駅1・2番改札集合で新年恒例の江戸連七福神巡りの開始です。集まったメンバーは58名、2班に分かれそれぞれ圓山さん、松本さんのガイドで出発。
 天気に恵まれ、まずは護国寺へお参りし、側にある富士講の富士山に上り、いよいよ七福神巡りが始まりました。最初は清土鬼子母神にある吉祥天にお参り。この地で鬼子母神像が発見されたということや、鬼子母神が吉祥天の母親であるという案内に驚き、お参りして次へ向かいました。後は1月講の案内に紹介された道筋をたどって夕刻16:30過ぎに池袋駅前に着き、解散。

雑司が谷 がやがやお散歩マップ
未来遺産 雑司が谷 がやがやお散歩マップ

清土鬼子母神(吉祥天)   雑司ヶ谷霊園(夏目漱石の墓)
清土鬼子母神(吉祥天)    雑司ヶ谷霊園(夏目漱石の墓)

鬼子母神堂(大黒天)
鬼子母神堂(大黒天)

 懇親会参加者38名は懇親会場の「鳥貴族」に向かいましたが、まだ開店前で17:00まで店内で待機。その後いつものように談論風発、19:00解散となりました。



2016年12月講「投扇興と江戸の芸を楽しむ」

開催日:12月18日(日)
会 場:堀切菖蒲園静観亭
内 容:第一部 師走講「投扇興と江戸の芸を楽しむ」
    午後1時半~3時 投扇興
    午後3時~4時半 藤間信子さんの日本舞踊と長唄・端唄・小唄あれこれ、花伝亭長太楼さんの落語
    第二部 「忘年会」
    午後5時半~午後7時半
参加費:師走講のみは2千円。師走講および忘年会は5千円

報告

投扇興 自由参加。はじめに仲下さんからルールの説明があり、総勢25名の参加者が順次7回投扇して点数を競い、上位8名、圓山、仲下、村岡、坂本、三宮夫人、白石夫人、張さん、白石を選抜、準々決勝を行いました。次の準決勝は、三宮夫人対白石夫人と坂本さん対仲下さんの対戦。白石夫人と仲下さんが決勝に勝ち残り、二人の対決は白石夫人の優勝となりました。仲下さんより提供された「プーチンカレンダー」が賞品として、優勝した白石夫人、最高得点34点の三宮夫人、次点の坂本さんへ授与されました。

12月講
藤間流日本舞踊
最初に藤間信千鶴師匠「白扇(小唄)」、続いて藤間信子師匠「桃太郎(端唄)」、藤間信ゆう師匠「木遣ずくし(端唄)」、再び藤間信子師匠「都鳥(長唄)」とお三方の伝統的な、そして優雅な日本の踊りを堪能しました。二人の外国人留学生も大変興味深く鑑賞しており、日本の伝統的な芸が日常的に鑑賞できるのは素晴らしいとの感想を述べていました。
藤間信千鶴師匠 藤間信子師匠 藤間信ゆう師匠

落語「占い八百屋」 花伝亭長太楼さん
あらすじ:女中に邪険にされた出入りの八百屋が腹いせに主人の大事な徳利を水甕の中へ隠してしまう。後で、そろばん占いで水甕から徳利を見つけ出すと主人は大喜び、紛失物占いの先生となり、占い依頼が殺到。進退窮まった八百屋の運命や如何に! 追いつめられる八百屋の様子や、思わぬ幸運に恵まれ喜んだのも束の間、また新たな窮地に陥る八百屋の慌てふためく様子を、長太楼さんが、持ち前のソフトながら淀みのない独特の口調で語り、皆を笑いの渦に巻き込みました。
花伝亭長太楼さん

忘年会
「藤間流日本舞踊」の藤間信子師匠、藤間信千鶴師匠、藤間信ゆう師匠をはじめ「品川郷土の会」の坂本会長、「NPO法人 たのしいひととき出前どころ」の室尾理事長さんなど、会員外の方の参加も含めて総勢46名で和やか、かつ賑やかに行われました。