6月28日(金)、定例の「投扇興」練習会が阿佐ヶ谷区民センターで開かれた。
連続出場中で最多優勝回数の仲下尚治氏、常連の白石夫妻、清水学氏等の欠席もあって、開始当初は一抹の寂しさもあったが、香田なをさんの初参加、開始早々からの「澪標」などの大技の続出、荻原延元氏と塩出明彦氏の対戦が練習会初の延長戦となるなど大いに盛り上がることとなった。
延長戦を制した塩出氏の技も高難度技「横笛」であった。
決勝戦は小川裕子さんと坂本宏氏の対戦となり女性初の優勝かと注目されたが、小川さんの最終投「浮舟」もむなしく、「早蕨」と「浮舟」で先行した坂本氏の貫録勝ちとなった。
練習会終了後は林繁樹氏を宗匠とし、俳句会が開かれた。
(文責 三田義之)
指南役講評
「扇句会」報告
初めての試みで句会を行った。未経験の方が多かったが、果敢に挑戦して頂き、短時間であったが、充実していた。
事前に2句ずつ出句して、作者名を明かさず各自2句を選句する形式で行った。
なかなかの傑作ぞろいであったが、その内の5句を紹介する。
一)胡蝶舞ふ夏の阿佐ヶ谷投げ扇 義之
「胡蝶」は春の季語で「夏」と季重なりになるが、
この場合「投扇興」の事を詠みこんでいるので問題ない。
阿佐ヶ谷も詠み込まれていて、センスの良い句だ。
二)万緑や牛久大仏天を衝く 知蘭堂
緑の中にすくと立つ大仏、地から天へと視線が移り大きな景が見えてくる。
三)夕立や相合傘にはひふへほ 長閑
下五がユニークで、思わせぶりなところが良い。
四)烏瓜咲いて妖しき夜の底 なを
滅多に見ることのできない烏瓜の花。「夜の底」で決まった。
五)縁側で西瓜頬ばり種飛ばし 宏
みんな経験のある昭和の子供時代が描かれ共感を得た。
(文責: 林)