6月講「黄表紙を楽しむ(続編)」

日 時:6月18日(日)午後2時~4時
場 所:東京ウイメンズプラザ第二会議室&オンライン(Zoom)配信
講 師:神山直樹氏  江戸連会員
会 費:会場参加 会員1,000円、非会員1,500円
    Zoom参加 会員500円、非会員1,000円
(※会員は9月末にまとめて支払い。非会員は事前支払い、ただし関係会員との合算可)

5月講「江戸を制覇した醸造業~“酒は関西もの、醤油は関東もの”の何故?」

日 時:5月21日(日)午後1時30分~3時30分(※開始時間がいつもと違います!)
場 所:東京ウイメンズプラザ第一会議室A&オンライン(Zoom)配信
講 師:宮川都吉氏  江戸連会員・農学博士
会 費:会場参加 会員1,000円、非会員1,500円
    Zoom参加 会員500円、非会員1,000円

報告

5月講は、会員で農学博士の宮川都吉講師の江戸を制覇した醸造業「酒は関西もの、醤油は関東もの」は、なぜ?で、参加者は現地21名、Zoom 14名でした。今回の講演の基は日本酒の講演もしている宮川講師に「同じ醸造の醤油の話は」とのアプローチがあっての事だそうです。酒も醤油も同じ醸造業であるが、酒造りは難しいが結論です。醤油醸造は紀州の漁師が銚子に移住し、関西の醤油製造法を伝えた。下総(銚子・野田)で醤油醸造が成功したのは、①原料(大豆、小麦)の調達が容易、②干鰯を資金源とした大規模化、③江戸への舟運の利便、④江戸の食文化に最適な調味料、⑤高濃度の塩により腐造の恐れなく比較的容易に醸造産物が得られる。対象的に塩を使わない酒の醸造には、極めて高度な技術が必要。江戸の酒造業は関西酒造技術との差は大きく、火入れ処理と製品管理の初歩的な問題で多くの酒屋が破綻した。醸造の工程は似ているが、醤油は耐塩性の微生物、酒は水と技術が核心だと思いました。
(講師私見、なぜ醤油醸造に小麦が使われるか?)小麦に含まれる蛋白質(グルテン)がうま味物質グルタミン酸となり、醤油諸味に大量蓄積するため、との見解は「味の素」の商品化の事と共に興味深かった。

以上     文責:小嶋 光



総会および4月講「西宝珠河岸・小流寺縁起から利根川東遷を再考する」

日 時:4月23日(日)13:30~16:00
    13:30~14:00 総 会「2022年度活動報告と決算・2023年度活動方針と予算・その他」
        *欠席の場合、代表理事圓山さん宛てに「江戸連理事会」へ委任状を送信して下さい*
    14:00~16:00 講演「西宝珠河岸・小流寺縁起から利根川東遷を再考する」
        講 師:新實正義氏(江戸連会員)
場 所:東京ウイメンズプラザ 第一会議室
会 費:会場参加 会員1,000円、非会員1,500円
    Zoom参加 会員500円、非会員1,000円

報告

4月講は、会員の新實講師の庄和町・西宝珠河岸「小流寺縁起」から利根川東遷を考えるで、参加者は現地18名、Zoom 9名でした。まず、今回の講演の基となる「小流寺縁起」考の著者、所利喜夫が講師の新實さんの奥様の従兄であり、毎年、年始の時に酒を酌み交わしていたという偶然に感嘆の声が響きました。4年程前にご逝去したため、直接話を聞けなかったそうです。
 1. 東遷事業肯定説(歴史的な資料はなく、幕府は国策として施工したことを実証しなければならなかった。基本的に再検討)
 2. 東遷事業疑問説(江戸初期についての論文はおおむね「新編武蔵風土記稿」や「下総国旧事考」といった後代の記述に基づいており、同時代の確実な文書、記録による研究の必要性が強調された)
 3. 東遷事業否定説(事業の最大の狙いは舟運の開発と安定であり、常陸川への利根川の放出はその結果としての現象で当初から目的化されたものではない)
「小流寺縁起」を読み解くことにより、1~3の説を確定できるかとの講演だと理解しました。質疑応答は熱の籠った議論となりました。今回の講演もそうですが、新實講師の膨大な資料の読み込みには感服します。

以上     文責:小嶋 光



3月講「江戸の上水道はどのように整備されたのか」

日 時:3月19日(日)午後2時~4時
場 所:東京ウイメンズプラザ&オンライン(Zoom)配信
講 師:金子智氏  東京都水道歴史館 企画調査責任者 近世考古学専門
著 書:「お江戸の町の上水と下水」「江戸の上水整備とその技術」「近世城郭の瓦」
    「近世城郭の考古学入門」他、多数
会 費:会場参加 会員1,000円、非会員1,500円
    Zoom参加 会員500円、非会員1,000円

報告

3月講は、金子智講師の江戸の上水道はどのように整備されたのかで、参加者は現地21名、Zoom 17名でした。金子講師は、東京都水道歴史館の企画調査責任者で近世考古学専門(発掘調査)、著書は「お江戸の町の上水と下水」「江戸の上水整備とその技術」「近世城郭の瓦」「近世城郭の考古学入門」他、多数あります。日本に本格的な上水道が整備されるようになったのは、江戸時代。各地に造られた上水道の中で、最も大規模なものが徳川幕府のお膝元、江戸の上水との事から始まりました。江戸に上水が整備されることになった大きな理由は、人口が増えるまでは井戸(堀井戸)や湧水だったが、人口増に伴う飲料水の不足により別の場所から清浄な水を引いてくる必要があったため。神田上水は『寛永江戸全図』や『江戸図屏風』に描かれていて一番古い上水。溜池上水は『江戸図屏風』にも描かれている他に、江戸市中の発掘調査でその痕跡と思われるものがいくつか発見され、考古学的に立証された。玉川上水の完成後その分水として青山・三田・千川の3上水、亀有上水(本所上水)も造られ、神田上水と共に「江戸の六上水」と呼んでいる。しかし神田・玉川上水以外はほどなく一斉に廃止となった。明治31年、淀橋浄水場完成の3年後まで神田・玉川上水は使い続けられた。
内容の豊富な講演で、詳細(発掘調査等)について、また講演をお願いしたいと思いました。

以上     文責:小嶋 光



2月講「黄表紙を楽しむ」

日 時:2月23日(木・祝)午後2時~4時
場 所:東京ウイメンズプラザ&オンライン(Zoom)配信
講 師:神山直樹氏(江戸連会員)
会 費:会場参加 会員1,000円、非会員1,500円
    Zoom参加 会員500円、非会員1,000円

報告

2月講は、神山直樹講師の「黄表紙を楽しむ」で、参加者は現地23名、Zoom 17名でした。
古文書連の講師でもある神山講師は「黄表紙のファンであり」「私はこうして黄表紙を楽しんでいます」との始まりでした。黄表紙の特徴としては<大人向けの絵本である>に尽きるとのこと。<なぜ黄表紙というか>表紙が萌黄色で「青本」と呼ばれていたが植物染料のため褪色が早くすぐ黄色になった。<黄表紙の手法>しゃれ、うがち、逆転、誇張、パロディーなど個々の場面の絵や文章に仕掛けた作者の工夫を発見し楽しむこと。<歌舞伎・遊里を知らないとわからないことが多い>現代の読者には謎解きのようなところも多い。<江戸で出版された>地本(問屋)江戸の地で刊行された出版物。草双紙、浄瑠璃本、洒落本、人情本など。書物(問屋)「物の本」と呼ばれる仏書、儒書、漢籍、国文学など京、大坂の版元の支店。など項目に沿った実際の黄表紙の絵での説明でした。
黄表紙の変遷、黄表紙の作者たち等の説明に、時代背景に大きな影響を受けていたことが理解できました。私の選ぶ黄表紙10選は説明時間が無くなり駆け足となり、次回を期待する連衆も多いのではないでしょうか。

以上     文責:小嶋 光